突発釣行①
金曜日の朝刊には釣り情報的な記事が掲載されている。
朝に新聞を読む習慣がないのでその情報は夕方に知ることになる。
『アオリイカが釣れ始めている。』
…とのこと。
そんなことはもう前回の惨敗で身をもって体験している。
モヤモヤした気分のまま週末を迎える。
土曜日の仕事をそこそこに切り上げて帰宅。
いつもと変わらない食卓、食べ終えたらテレビの前に横になる。
仕事の疲れもあり眠気に襲われ一眠り。
バタバタと家事をこなしている妻の足音で目を覚まし風呂に入る。
布団に横になってぼんやりしながらの寝落ち。
何故かわからないが目を覚ます。
時計を見ると11時。
まだ日曜日では無い。
軽い喉の渇きを感じ水を飲みに台所に向かう。
居間では妻がテレビを見ている。
ダメ元で妻に出撃の要請を出す。
意外にもOKが出たので気が変わらないうちに着替えて緊急出撃。
午前0時家を出る。
真夜中の峠道は前にも後ろにも車はなく山を降りるまで孤独ドライブ。
はやる気持ちを抑えながらも安全運転。
行き先は前回と同じKB漁港。
トンネル前のコンビニに寄り物資の調達と一服。
再度車を走らせ午前2時過ぎ釣り場に到着。
漁港の駐車スペースには先行者の車が数台、港内には家族連れの人達が竿を出している。
外を見渡すと防波堤の上から外海に向けてエギングをしているであろう懐中電灯の光りがちらほら……。
とりあえず道具を出し前回と同じ釣り座につく。
足元には真新しい墨跡が多数…
ここでイカが釣れているという証拠ではあるのだが羨ましいと思う反面あまり良い気分では無い……。
そんな嫉妬心にも似た何かを覚えながら午前2時半前釣り開始。
とりあえずエギング、アオリイカ狙い……。
釣り座は漁港入り口先端、周囲には人影が無く真後ろ以外どの方向にも投げ放題、対岸には大きめの岩場がありその周りは船の通り道らしく深い。
墨跡はその方向からの釣り上げた跡みたいだ。
まずは岩場の手前から探る…
使う餌木は2.5号、夜が開けていないのでラインの変化ではあたりが分からないので少しテンションを張り気味に攻める。
開始数投目からあたりはあるが下手くそなせいで全く乗らない……。
少しずつ焦りながら数投…
…根掛かり……。
何度か煽って外れたが餌木をリーダー部分からロスト……。
「あうぅ…800円……。」
リーダーを結び直すのが面倒なので、すぐさま車に戻り別のロッドに変更。
気を取り戻し再開。
使う餌木は同じく2.5号
少し遠投気味に岩場の横を通すように攻める……。
その一投目、着底手前で軽くしゃくり上げ少しラインを張り気味に落とし込んでいると…
“ぬぅ〜”
竿先を少し引っ張られるようなあたり…
そこで軽く巻き合わせ…
乗ったようだ。
巻いている最中水面から姿を現わす…
ピュッと墨を吐く…
久しぶりの感触がロッドから伝わってくる。
手前に引き寄せ今年一杯目のアオリイカを釣り上げた。
まだ小さいがこれでボウズはない。
当初の目的は達成。
残酷だが眉間にピックを刺して締めるイカの色が白くなる瞬間に釣れたことを実感する。
「家に帰ったらおいしくいただきます…。」
袋に入れてクーラーボックスへ……。
とりあえず一安心、この後数投ほどやってみたが反応はなく、これ以上エギングでの追い討ちはせずここからライトゲームに切り替えて釣りを再開。
全く釣れないが気にしない。
だって、目的は達成したんだもの。
午前5時過ぎ空はもう明るい。
雨が降り出したので車に戻って雨やどり。
すぐに止むような気配は無く更に強く降ってきたので逃げるように最初の漁港を後にする。
午前5時半、家に帰るにはまだ早い。
さいごに
ちょっとの釣果でもすぐに嬉しくなる簡単な男ですよ。
②に続きます。